2022/09/20 13:22
日本ではそもそもまこもたけはできなかった
日本に古来より自生する品種(古来種)は、まこもたけはできないで菰米ができるものや小さく食用に向かないものであったため、日本ではまこもたけを食べる風習はありませんでした
そのため日本では、葉を活用したり、まこもたけから炭を作り、それを陶器の顔料やお歯黒、眉墨などに使ったとされていました
まこもはイネ科であり、秋になるとお米と同じように菰米(ワイルドライス)ができます
まこもに黒穂菌がつくと根元がプックリと膨らんでまこもたけができます
※黒穂菌とは
キノコやカビのような菌類の一つです。この菌に取り付かれた植物は穂が変形して黒くなるので黒穂病菌と言われます
黒穂病菌に感染したマコモは穂を作らず種子を作らないため、菰米はできません
黒穂菌は、まこもだけに限らず麦やトウモロコシなど他の植物にもつくものがあります
まこもたけが中国から日本にやってきた
中国(台湾)の品種はまこもたけが大きくなるため中国では昔からまこもたけを食べる習慣がありました
中国名を『茭白(ジャオバイ)』と呼び、その昔、初物は皇帝に献上され、その見た目から『美人腿』とも呼ばれていました
現在でも台湾料理ではポピュラーに使われる食材です
1980年代に中国の品種が日本に入ってきてまこもたけが栽培・食されるようになってきましたがまだまだ一般的ではないのは日本でのまこもたけの歴史が浅いことはその一因だと考えられます
まこもたけの食べ方は
『秋の筍』とも呼ばれるまこもたけは、多少の繊維質のある食感と淡白な甘みのある味をしており、私は味を聞かれたときには「たけのこやアスパラガスに近い」と例えます
あくのないたけのこをイメージするとわかりやすくて、生でも食べられますが天ぷらや炒め物などで加熱するとマコモタケの甘みが増してより美味しく食べられます
個人的には、まこもの天ぷらをまこも塩でいただくのが一番おいしいと思っています
私の住む関西では9月半ば過ぎ〜11月はじめまで採れますが条件により前後はあるでしょう
(最低気温が15℃あたりに下がってきたときにでき始めますので、北や山手は早く、南や平地では遅くなる傾向があり、また品種(早生(わせ)と晩生(おくて))によりかわります)
栽培されているのが小規模農家や個人農家の方が多く、栽培地も都心から離れていることが多いため、大手スーパーに流通することはまずありません
道の駅や産直市場などを中心に販売されているのを見かけることでしょう
まこもたけは、中に黒い斑点が見られますがこれが黒穂菌で食べていただいても問題ありません
初期の小さなまこもたけには見られないこともあり、晩期の大きいものになるとその量は多くなりますが味に大きな違いはありません
私は、若くてみずみずしいまこもたけは比較的生や味付けの薄い食べ方をし、黒穂菌旺盛で食感がしっかりしているまこもは加熱調理をしてその甘みと食感を活かす調理をすることをおすすめしております